翌日、頼んでいた資料が戻ってきます。
開いた瞬間、『違う』と思う。
こちらは結論を先にしてほしかったのに、相手は文字量を減らしている。
二人とも『分かりやすく』を目指したはずなのに、完成形は別でした。
まず、いま見えているものを、そのまま読みます。
説明しても伝わらないのは、なぜか
説明不足は確かに原因の一つです。
ただ、『分かりやすく』の意味を双方が同じだと思い込んでいれば、言葉を増やしてもズレの中心は残ります。
相手は文字量を減らすこと、自分は結論を先に出すことを考えていたかもしれません。
まず、確認できる事実と、そこへ自分が足した意味を分けます。
感情や直感を否定するためではありません。
どこから先が解釈なのかが見えると、次に確かめるものを選びやすくなるからです。
仕事の指示でズレる「ゴール」を確認する
相手を理解するとは、相手に同意することではありません。
自分の見方をいったん脇へ置き、その人には何が見えていて、どんな前提からその言葉が出たのかを仮置きします。
社会人先生でいう『相手にナリキル』の実務的な使い方です。
自分の言葉は、自分の前提を省略してできています。
伝わらないとき、説明を増やすだけでは省略された前提が残ります。
相手側の目的、知識、困りごとを読むと、どの橋が抜けていたかを探せます。
大切なのは、理論名を覚えることではありません。
見えていなかった条件が一つ増え、同じ現実に対して選べる問いや行動が一つ増えるかどうかです。
いまの反応を、無理に消す必要はありません。
その反応が何を守ろうとしているのか。
何を当然だと思っているのか。
そこを一度読みます。
事実は変えずに、別の読みが成立する余地だけを開きます。
社会人先生では、未来人・相手・場へナリキルことで、見る位置を動かします。
高く見るだけでは終わりません。
今日の具体へ戻し、現実で一手を打ち、観測し、修正する。
そこまでを一つの実践として扱います。
相手の前提を想像だけで決めつけない
でも、毎回相手の前提を丁寧に聞いていたら仕事が遅くなる、という問題もあります。
だから長い面談は要りません。
ズレやすい言葉だけを一つ確認します。
ただし、相手の事情を想像だけで決めつけてはいけません。
『きっとこう思っている』は新しい思い込みです。
仮説を置いたら、質問や相手の反応で確かめます。
見方を増やすことが、都合のよい解釈へ逃げることになったら逆効果です。
だから、変えない事実と、まだ確かめていないことは残します。
それでも言える範囲だけを、次の判断へ使います。
説明する前に置きたい一つの質問
依頼するとき、『完成したら、読む人が何をできる状態にしたいですか』を一問置きます。
返ってきた成果物が違ったときも、訂正事項を並べる前に、相手が置いていたゴールを聞きます。
一度に全部を変えません。
まず一つだけ試します。
そのあと、現実の反応を一つ観測します。
迷う時間が減ったか。
相手とのズレが小さくなったか。
次に確認する相手や情報が明確になったか。
変化がなければ、最初の問いへ戻ります。
次に似た場面へ出会ったとき、今回と同じ答えを選ぶ必要はありません。
「『私は何を省略した?』
『相手は何をゴールだと思っている?』
を一つずつ確認する」という見方を一度置きます。
そのあと、現実がどう動いたかを見る。
合えば残す。
合わなければ変える。
そうやって、自分で使える型へ育てていきます。
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